消費者ABSアップデート

Consumer ABS Update for August

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プライマリー・マーケット

  • ABSの発行額は170億ドルを超えて一段と正常な発行ペースへの回復が続き、過去2カ月間において、ほぼ月間平均額になりました。コンテナ案件の発行が特に多く、同分野におけるほぼ全てのABSが、非常に低い金利で発行されました。8月のコンテナ案件の発行額は32億ドル弱で、過去最高だった2013年通年の32億5,000万ドルを上回る勢いでした。発行は増加しましたが需要はさらにそれを上回り、+175の条件で容易に消化されました。力強い需要はコンテナ案件だけに止まらず、発行案件に対する投資家の需要が強く、8月に発行されたABSの多くが発行額の増額か、ガイダンスレンジ内の値決めかの一方、またはその両方を伴って発行されました。
  • 8月のハイライトは以下の通りです。
    • エイビスは好調な需要によって、6億5,000万ドルのレンタカー案件を、ガイダンスのタイト側の25~35bpで値決めしました。5年のAAのシニア債は175/n、2本の劣後トランシェは270/nと400/nで値決めされました。
    • ワンメインはサブプライムの消費者ローン会社で、発行額を5億ドル増額して10億ドルとし、4本のトランシェは135/n、175/n、230/nおよび300/nで値決めされ、全てガイダンスレンジ内の価格でした。ストラクチャーは、5年のリボルビング期間を経て、その後償却が始まります。
    • サリー・メイは、3本のトランシェからなる民間学生ローンを設定し、4年のAAA固定利付トランシェは110/n、変動利付トランシェは110dm、劣後トランシェは230/nで値決めされました。
    • ウィンダムは、5億7,500万ドルのタイムシェア案件を発行し、投資家に良好に受け入れられました。3年物シニア債、+140~150のレンジというガイダンスを受けて、115/nで値決めされました。劣後債の需要はさらに旺盛で、215/n、335/nおよび650/nで値決めされました。
    • トライトンは、14億ドルのコンテナABSを発行し、それは過去最大の発行規模となりました。これはトライトンにとって8月に入って2度目の案件で、前回はその前週に3億ドルを値決めしました。5年のシニアトランシェは175/n、劣後トランシェは340/nで値決めされました。

セカンダリー・マーケット

  • ABS市場の8月の取引は減速し、TRACEによると売買金額はわずか180億ドルで、前月比20%減少しました。しかし、需給逼迫の中で需要が増加したためにスプレッドは引き続きタイト化し、既に強気基調の動向継続に寄与しました。FFELPのようにABS市場で出遅れていたセクターでさえ、取引が増加して関心が高まり、スプレッドの縮小につながりました。FFELPのスプレッドは30~40bpタイト化し、115dm前後で取引されました。タイムシェア案件は新型コロナウイルスの悪影響にもかかわらず、投資家の関心を惹いたもう一つのセクターで、債券は+115で取引され、7月の+150の水準から改善しました。カードローン案件とプライム自動車ローン案件はさらに5~10bpタイト化し、今年の取引レンジの中でタイトの側となりました。

市場ニュース

  • ニューヨーク連銀の家計負債・信用に関する四半期報告書によると、家計債務が2014年以来で初めて減少しました。減少は、クレジットカード残高の760億ドル減が主導し、それは消費支出の減少を反映しており、同報告書開始以来で最大の減少となりました。クレジットカード、自動車ローン、学生ローンおよびその他債務を含む、住宅ローン以外の債務残高は860億ドル減少し、やはり報告書史上で最大の落ち込みとなりました。
  • ムーディーズはハーツのABSの見通しをポジティブとし、5月のネガティブの見通しから方向転換しました。ムーディーズは方向転換にあたって、リース料金と自動車売却資金をABSの信託に供するというハーツの合意と、中古車市場の力強さを挙げました。
  • フィッチ・レーティングスは、米国のソブリン格付け見通しをネガティブとしたことを受けて、FFELPのABSの見通しをネガティブへ変更しました。フィッチ・レーティングスは、FFELPのABSの見通しをネガティブとするに当たって、FFELPが連邦政府の支援を受けているために、米国のソブリン格付けと連動して見通しを変更したと述べました。

スプレッド

出所:バンクオブアメリカ・メリルリンチ・グローバル・リサーチ

 

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